国土交通省の統計では、不動産特定共同事業法にもとづく不動産クラウドファンディングの新規出資額は2025年度(令和7年度)に約1,797億円・827件で、2024年度の約1,763億円・875件とほぼ同じ規模でした。この記事では、国の統計・調査会社の集計・クラカレの月ごとの記録を、それぞれの数え方の違いとあわせて並べます。
国の統計:年度ごとの件数と出資額
国土交通省が2026年9月に出した「不動産特定共同事業の利活用促進ハンドブック」には、不動産特定共同事業の電子取引業務(クラウドファンディング)の新規案件数と出資額が、年度ごとに載っています。
| 年度 | 新規案件数 | 出資額 |
|---|---|---|
| 2018年度(平成30年度) | 26件 | 12.7億円 |
| 2019年度(令和元年度) | 105件 | 34.2億円 |
| 2020年度(令和2年度) | 137件 | 85.6億円 |
| 2021年度(令和3年度) | 227件 | 231.8億円 |
| 2022年度(令和4年度) | 419件 | 604.3億円 |
| 2023年度(令和5年度) | 530件 | 1,007.8億円 |
| 2024年度(令和6年度) | 875件 | 1,763.4億円 |
| 2025年度(令和7年度) | 827件 | 1,797.2億円 |
出典は国土交通省「不動産特定共同事業の利活用促進ハンドブック」令和8年9月の「不動産特定共同事業の電子取引業務(クラウドファンディング)の実績」で、ハンドブックはこの数字を国土交通省「不動産証券化の実態調査」から作ったとしています。2022年度の419件・約604億円は、2023年9月29日の国土交通省の報道発表にも同じ数字で出ています。
2018年度から2024年度までは件数も出資額も年ごとに増えてきましたが、2025年度は出資額がわずかに増えた一方で、件数は2024年度より少なくなっています。
この数字の定義
国の統計を読むときは、次の3点を押さえておくと、ほかの数字と混同せずに済みます。
| 項目 | 国の統計での数え方 |
|---|---|
| 期間 | 年度(4月から翌年3月まで) |
| 額 | 出資額(投資家から実際に集まった額) |
| 対象 | 不動産特定共同事業法の電子取引業務(インターネットで契約を結ぶもの)。金融商品取引法のもとで募集される貸付型は入らない |
投資家の数
国土交通省の検討会が2025年8月にまとめた中間整理の概要には、運用中の商品に参加している一般投資家の数も出ています。2019年の3.4万人から2023年には29.7万人に増え、そのうちインターネット上の契約を通じた参加者は0.7万人から約20万人になりました(国土交通省「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理(概要)」)。
調査会社の集計:暦年の募集額
国の統計とは別に、民間の調査会社も市場の規模を集計しています。グローシップ・パートナーズ株式会社が運営するメディア「クラファンch」は2026年1月7日の発表で、2025年に募集された不動産クラウドファンディングのファンドの募集金額の合計を約1,711億円とし、前年とほぼ横ばいだったとしています。集計の対象は、不動産特定共同事業法にもとづいて電子取引を行うサービスです。
この集計は暦年(1月から12月まで)で、数えているのは募集金額です。国の統計の「年度・出資額」とは期間も額の種類も違いますので、2つの数字の差をそのまま市場の変化と読むことはできません。
クラカレの記録:月ごとの件数と総額
| 月 | 募集件数 | 募集総額 | 1件あたり(中央値) | 満額の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年9月 | 88件 | 124億6,584万円 | 5,500万円 | 64%(70件中) |
| 2026年10月(途中) | 44件 | 66億5,694万円 | 9,315万円 | 84%(19件中) |
クラカレの記録は、掲載している事業者の募集を、募集が始まった月で数えたものです。国の統計が年に1回まとめて出るのに対し、月ごとの動きを翌月には確かめられるのがこの記録の役割です。各月の事業者ごとの内訳は、2026年9月の市場レポートのように月ごとのレポートにまとめています。
3つの数字の違い
| 項目 | 国土交通省の統計 | 調査会社の集計(クラファンch) | クラカレの記録 |
|---|---|---|---|
| 期間の区切り | 年度(4月〜翌年3月) | 暦年(1月〜12月) | 月(募集が始まった月) |
| 数える額 | 出資額(集まった額) | 募集金額 | 募集総額(募集した額) |
| 対象 | 不動産特定共同事業法の電子取引業務 | 不動産特定共同事業法にもとづく電子取引のサービス | 掲載している事業者(貸付型を含む) |
| 出る頻度 | 年に1回 | 年に1回 | 毎月 |
募集額と出資額
募集額(募集総額)は事業者が集めようとした額で、出資額は実際に集まった額です。満額にならなかった募集では出資額が募集額より少なくなりますので、同じ期間でも募集額のほうが大きく出ます。
年度と暦年
年度は4月から翌年3月まで、暦年は1月から12月までですので、3か月ずれています。2025年度の約1,797億円と2025年の約1,711億円は、期間も額の種類も違う数字です。
対象の違い
国の統計と調査会社の集計は、不動産特定共同事業法の商品を数えています。クラカレの記録には、金融商品取引業の登録で募集される貸付型の募集も入っています。一方でクラカレが記録しているのは掲載している事業者だけですので、国内の事業者すべてを数えたものではありません。
そのため、クラカレの月の記録を12倍して国の統計と比べる、といった使い方はできません。クラカレの記録は、同じ数え方の月どうしを比べるために使ってください。
市場の規模を読むときに気をつけたいこと
規模の大きさと、投資の安全性は別
市場の規模が大きくなっても、1つ1つの募集の元本が保証されるわけではありません。不動産クラファンは元本が保証された商品ではなく、想定利回りも予定の値です。リスクの種類は不動産クラファンのリスクにまとめています。
制度も変わっている
国土交通省は2026年8月21日に不動産特定共同事業法施行規則を改正し、契約成立前の説明事項や、事業者のホームページに載せる事項を増やしました。改正の中身と施行の日程は、2026年8月の制度改正にまとめています。
よくある質問
Q. 不動産クラファンの市場は縮小しているのですか。
A. 国土交通省の統計では、2025年度の出資額は2024年度をわずかに上回り、件数は下回りました。調査会社の集計では、2025年の募集金額は前年とほぼ横ばいとされています。この記事では、これらの数字から先の見通しを示すことはしていません。
Q. 国の統計の最新の値はいつ出ますか。
A. この記事の時点で最新の年度は2025年度(令和7年度)で、2026年9月のハンドブックに載っています。次の年度の値がいつ出るかは、国土交通省の発表で確かめてください。
Q. クラカレの記録はいつから見られますか。
A. 全社の記録がそろった2026年9月から、月ごとの表で見られます。それより前の月は、全社をそろえて数えられないため表に出していません。
国の統計・調査会社の数字は、それぞれの発表の時点のものです。クラカレの表は各社の公開情報をもとにした記録で、生成のたびに最新の記録に入れ替わります。