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2026年8月の制度改正:募集ページに載る情報は何が増えたか

2026/10/14 更新|各社の公開情報から作成

2026年8月21日に公布・施行された不動産特定共同事業法施行規則の改正で、契約成立前に説明する事項・財産管理報告書に書く事項・事業者のホームページに載せる事項が増えました。改正の前から許可や登録を受けている事業者は2026年11月30日までは改正前の決まりによることができますので、新しい決まりがすべての事業者に当てはまるのは2026年12月1日からです。

この記事では、国土交通省の報道発表・改正の概要・新旧対照表・改正命令の附則をもとに、投資家から見て何が増えたのかと、いつから当てはまるのかをまとめます。

改正の全体

国土交通省は2026年8月21日に、「不動産特定共同事業法施行規則の一部を改正する命令」の公布と、関係する2つの文書の改正を発表しました(国土交通省の報道発表(2026年8月21日))。副題は「投資家がよりわかりやすく安心して投資できる市場の整備に向けて」です。

改正されたもの 主な中身
不動産特定共同事業法施行規則 ①許可申請書などの提出部数の変更 ②事業参加者の保護に支障を生じるおそれがある状況の追加 ③契約成立前の説明事項の追加 ④財産管理報告書の記載事項の充実 ⑤電子取引業務を行う事業者のホームページなどへの掲載事項の充実
不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項 施行規則の②③④に合わせた改正
不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン 施行規則の⑤に合わせた改正

改正のもとになったのは、国土交通省の検討会が2025年8月にまとめた「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理」です。中間整理の概要は、想定利回りの根拠や対象不動産の価格の妥当性・出資金の使途などを契約前の書面に書く事項として広げる方向を示していました(中間整理(概要))。

契約成立前の説明に加わった事項

不動産特定共同事業者は、契約が成立するまでに書面を交付して契約の内容を説明しなければなりません。今回の改正で、その説明事項に次のものが加わりました(改正の概要(施行規則))。

想定利回りの根拠

勧誘のときに利回りなどを示した場合は、その利回りが予想にもとづくものであることと、根拠になる不動産取引の額・対象不動産を特定するための事項・取引の態様、その取引が行われた根拠(これから行われる取引なら、行われると見込んだ根拠)を説明します。募集ページの「想定利回り」の数字がどの売却額や賃料から出てきたのかを、投資家が確かめられるようにするための追加です。

物件の価格を妥当とする根拠

対象不動産の価格について、その価格を妥当と判断する根拠を説明します。

利害関係人との取引

事業者のグループ会社など利害関係人との取引を行う場合は、その取引の額を妥当と判断する根拠を説明します。概要では、鑑定評価額・条件の似た近くの不動産の取引価格・それらと取引の額との差額・その額を妥当と判断する理由などが挙げられています。

出資金の使い道

出資を伴う契約では、出資された金銭の使い道を説明します。

開発や工事のある商品

宅地の造成や建物の建築の工事が終わる前の商品では、開発許可・建築確認といった必要な処分の有無とその概要・資金計画・工事の完了時期などを説明します。

水害ハザードマップと建物状況調査

対象不動産が水害ハザードマップの区域にある場合は、その内容を説明します。また、鉄筋コンクリート造などの共同住宅等の建物状況調査について、有効期間を2年としました。

運用中に届く財産管理報告書に加わった事項

不動産特定共同事業者は、契約した投資家に、商品の状況を記した財産管理報告書を定期的に交付しなければなりません。今回の改正で、その記載事項に次のものが加わりました(改正の概要(施行規則))。

  • 報告の対象期間に支出した金銭の額と使い道
  • すでに着手した工事の概要と完了の時期
  • 今後の資金計画と、今後行う予定の工事の概要・完了の時期
  • 必要な許可などの変更の処分の有無と、その概要

運用中の商品で「集めたお金が何に使われたか」「工事が予定どおり進んでいるか」を、投資家が報告書で確かめられるようになります。

ホームページに載る事項(電子取引業務)

インターネットで契約を結ぶ事業者(電子取引業務を行う事業者)は、投資家の判断に重要な影響を与える事項を、自社のホームページなどで閲覧できる状態にしておく必要があります。今回の改正で、そこに「利害関係人取引に関する事項」「宅地の造成又は建物の建築に関する工事に関する事項」「収益又は利益の分配に関する事項」が加わりました(電子取引業務ガイドラインの改正の概要)。

新旧対照表を見ると、ホームページに載せる中身はかなり具体的に決められています(電子取引業務ガイドライン 新旧対照表)。

利害関係人から物件を取得する場合

利害関係人との間で対象不動産を取得するような取引では、取引の額を妥当とする根拠として、少なくとも利害関係を持たない不動産鑑定士の鑑定評価の有無を載せます。鑑定評価を受けた場合はその結果と方法の概要(鑑定評価の年月日を含む)・鑑定評価を行った人の名前を、受けていない場合はその理由や、利害関係人でない売主が過去に行った直近の売買の価格などを載せます。鑑定評価額などと取引の額に差があるときは、その差額と、差額を妥当とする理由も載せます。

工事のある商品

工事の概要・必要な許可や確認の処分の有無・資金計画・着手と完了の予定時期などを載せます。

分配と利回り

分配する額の計算方法と分配の時期・方法を載せます。勧誘のときに利回りなどを示した場合は、その計算方法・計算のもとになった分配見込額と期間・利回りが予想にもとづく不確実なものである旨・根拠になる不動産取引ごとの額や物件を特定する事項などを載せます。計算のもとにした期間が契約の期間より長いときは、契約の期間で計算し直した分配見込額と利回りも載せます。

物件の価格

対象不動産の価格と算定の方法に加えて、その価格を妥当と判断する根拠を載せます。不動産鑑定士の鑑定評価を受けていない場合は、その理由も載せます。

売却の価格についての決まり

施行規則の改正では、事業者の業務の運営が「事業参加者の保護に支障を生じるおそれがある状況」に、次の状況が加わりました。対象不動産を売却する場合(利害関係人でない人への売却を除く)に、利害関係人等でない不動産鑑定士の鑑定評価に相当する価格で売却するための措置をとっていない状況です(改正の概要(施行規則))。償還のときに対象不動産を利害関係人へ売る場合などの価格の公正さを保つための決まりで、中間整理の概要では「不当廉売や損失補填を防止するため」と説明されています。

いつから当てはまるか

日程は、改正命令の附則と改正の概要で決まっています(改正命令の案文の附則)。

日付 当てはまるもの
2026年8月21日 改正命令の公布・施行。電子取引業務ガイドラインの発出・適用
2026年10月1日 許可申請書などの提出部数の変更(事業者の手続きの話)
2026年11月30日まで 施行のときにすでに許可・登録を受けていた事業者は、契約成立前の説明(第43条)・財産管理報告書(第50条)・ホームページへの掲載(第55条第1項)について、改正前の決まりによることができる
2026年12月1日以後に結ばれる契約 売却の価格についての決まり(第40条)は、この日以後に結ばれる契約の対象不動産の売却などに当てはまる

附則の第3条は「なお従前の例によることができる」という書き方ですので、改正前から許可や登録を受けていた事業者が、11月30日より前から新しい決まりに沿って説明や掲載をすることもできます。改正の後に新しく許可や登録を受けた事業者には、この経過措置はありません。

貸付型の商品には当てはまらない

今回の改正は不動産特定共同事業法の施行規則とガイドラインの改正で、金融商品取引法のもとで募集される貸付型の商品は対象ではありません。クラカレに掲載している事業者には両方の仕組みの事業者がいますので、どちらの仕組みかは不動産クラファン事業者の一覧の許可・登録の欄で確かめてください。仕組みの違いは不動産特定共同事業法(不特法)の許可にまとめています。

募集ページで確かめるときは

2026年12月1日以降に募集ページや契約成立前書面を見るときは、次の項目が載っているかを確かめておくと、改正で増えた情報を使えます。

  • 想定利回りの計算方法と、根拠になる売却額や賃料
  • 物件の価格を妥当とする根拠と、不動産鑑定士の鑑定評価の有無
  • グループ会社など利害関係人から物件を取得する場合の、取引の額の根拠
  • 出資金の使い道
  • 工事のある商品の、資金計画と完了の予定時期

どの項目も、載っていることと、その内容が正しいことは別の話です。不動産クラファンは元本が保証された商品ではなく、想定利回りも予定の値ですので、載っている根拠を読んだうえで自分で判断することになります。比べるときに見る項目の全体は比べるときに見る項目にまとめています。

よくある質問

Q. 10月1日から募集ページの掲載が変わるのですか。

A. 10月1日から当てはまるのは、許可申請書などの提出部数の変更です。ホームページへの掲載事項については、改正前から許可・登録を受けていた事業者は11月30日まで改正前の決まりによることができます。

Q. 改正の後に募集された商品なら、利回りの根拠が必ず載っていますか。

A. 施行の後に新しく許可・登録を受けた事業者と、11月30日の経過措置が終わった後の事業者は、新しい決まりに沿った説明と掲載が必要です。それより前は、改正前の決まりによっている事業者もあります。載っているかどうかは、募集ページと契約成立前書面で確かめてください。

Q. 改正の原文はどこで読めますか。

A. 国土交通省の2026年8月21日の報道発表に、施行規則の概要・案文、監督の留意事項と電子取引業務ガイドラインの概要・新旧対照表、中間整理の概要が別添として付いています。

この記事は、国土交通省が2026年8月21日に公表した資料をもとに、改正の中身を一般的にまとめたものです。個別の商品にどの決まりが当てはまるかは、事業者の案内と契約成立前書面で確かめてください。

文:クラカレ編集部

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