トップ › ガイド › 税金・確定申告

税金・確定申告

確定申告のやり方:支払調書の見方とe-Taxで入力する場所

2026/10/14 更新|各社の公開情報から作成

匿名組合型の不動産クラファンの分配金は、確定申告書の雑所得の「その他」の欄に収入金額と所得金額を書き、差し引かれた所得税等は第二表の「所得の内訳」に事業者ごとに書いて第一表の源泉徴収税額の合計に入れます。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、事業者の書類にある分配金の額と源泉徴収税額を画面の案内に沿って入れるだけで、欄への転記と計算はその場で行われます。

この記事は、令和8年分(2026年に受け取った分配金を2027年に申告する分)を想定して書いています。欄の番号と画面の説明は、執筆時点で公開されている令和7年分の国税庁の手引きとガイドによるもので、令和8年分では番号や画面が変わることがあります。申告の前に、国税庁の最新の案内で確かめてください。

申告が要るかを先に確かめる

会社員で給与以外の所得が20万円以下の人などは、所得税の確定申告をしなくてもよい場合があります。ただしその場合も住民税の申告は必要で、医療費控除などで確定申告をするときは分配金も含めて申告します。判定の仕方は会社員の「20万円」と住民税の申告にまとめました。

所得税率が低く、差し引かれた20.42%が多すぎる人は、申告すると税金が戻ることがあります。その計算は源泉徴収された税金が戻る場合を参考にしてください。

用意するもの

事業者が出す年間の書類

申告に使う数字は、1年間に受け取った分配金の額(源泉徴収される前の額)と、差し引かれた源泉徴収税額の2つです。マイページなどで年間の取引報告書や支払調書の写しといった書類を出している事業者がありますが、書類の名前や出し方は事業者ごとに違いますので、各社の案内で確かめてください。複数の事業者から分配を受けている人は、全社の分を集めます。

支払調書に書かれていること

事業者は、匿名組合契約に基づく利益の分配について「匿名組合契約等の利益の分配の支払調書」を作り、翌年1月31日までに税務署へ出します(国税庁「匿名組合契約等の利益の分配の支払調書(同合計表)」)。国税庁の記載要領によると、支払調書には次のような項目があります(記載要領(PDF))。

項目 記載要領での説明 申告での使いどころ
出資の金額 利益の分配の支払が確定した時の出資の金額 申告書には書かない(元本の額)
支払金額 その年中に支払の確定したもの 雑所得の収入金額
源泉徴収税額 その徴収される税額 第二表の所得の内訳・第一表の源泉徴収税額

支払金額は利益の分配の額で、運用が終わって戻ってきた元本は含まれません。国税庁の通達も、出資の払戻しとして受け取るお金は利益の分配に含まれないとしています(所得税基本通達36・37共-21)。

そのほかに要るもの

勤め先の源泉徴収票と各種の控除の証明書のほか、e-Taxで送るならマイナンバーカードなどを用意します。事業者が税務署に出す支払調書には、その年中に支払が確定した分配金が書かれますので、令和8年分の申告では2026年中に支払が確定した分を集めることになります。

申告書のどこに書くか

第一表:雑所得の「その他」

分配金は原則として雑所得ですので(所得税基本通達36・37共-21)、申告書の雑所得の欄に書きます。雑所得は「公的年金等」「業務」「その他」の3つに分かれていて、国税庁の手引きは「その他」の例として個人年金保険や暗号資産取引などを挙げています(令和7年分 確定申告の手引き「雑所得」)。手引きが業務の例に挙げているのは原稿料や講演料などの副収入ですので、募集に出資して分配を受け取るだけの投資家であれば「その他」の欄を使うことになると考えられます。区分に迷うときは税務署に確かめてください。

令和7年分の第一表では、雑所得の「その他」の収入金額をクの欄に、所得金額を⑨の欄に書きます。雑所得の合計は⑩の欄です。手引きの計算欄では、収入金額(税込)から必要経費を引いた額が「その他」の所得金額になり、公的年金等・業務・その他を合計して雑所得の金額とします(同じページ)。

収入金額は源泉徴収される前の額です。口座に入った手取りの額を書くと、収入を少なく申告してしまいますので注意しましょう。

第二表:所得の内訳

源泉徴収された所得や税額は、第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」の欄に書きます(令和7年分 確定申告の手引き「源泉徴収税額」)。雑所得の場合の「種目」の欄について、手引きは国民年金・個人年金・原稿料・暗号資産などを例に挙げていますが、匿名組合の分配金の書き方の例は載っていません(雑所得の手引き)。分配金だと分かる書き方で足りるかどうか迷ったら、税務署に確かめてください。

第一表:源泉徴収税額の合計

第一表の源泉徴収税額の欄(令和7年分では㊾)には、給与や分配金などから差し引かれた所得税等の合計を書きます(令和7年分 確定申告の手引き「源泉徴収税額」)。会社員なら、源泉徴収票の源泉徴収税額に、分配金から差し引かれた額を足した数字になります。この合計が、その年に納めるべき税額より多ければ差額が戻り、少なければ差額を納めます。

第二表:住民税の徴収方法

第二表には、給与以外の所得にかかる住民税を給与から差し引く(特別徴収)か、自分で納める(自分で納付)かを選ぶ欄があります(令和7年分 確定申告の手引き「住民税」)。確定申告書を出せば、住民税の申告を別にする必要はありません(横浜市「市民税・県民税の申告について」)。

確定申告書等作成コーナーで入力する順番

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って入力すると税額が計算され、作った申告書をそのままe-Taxで送れます(令和7年分 確定申告の手引き「申告書の提出方法」)。令和7年分のパソコン向けのガイドでは、所得税の申告書は次の順で作ります(国税庁「令和7年分 確定申告書等作成コーナー パソコンご利用ガイド」)。

順 画面 分配金に関係すること
1 事前確認 提出方法(e-Taxか書面か)と、作る申告書(所得税)を選ぶ
2 申告する所得の選択 給与所得に加えて雑所得にチェックを入れる
3 収入・所得の入力 雑所得の画面で、事業者ごとに分配金の額などを入れる
4 控除の入力 医療費控除・寄附金控除などを入れる
5 計算結果の確認 還付される額か、納める額が表示される
6 還付方法・納付方法の入力 還付金の受取口座、または納付の方法を選ぶ
7 住民税等に関する事項 住民税の徴収方法などを選ぶ
8 基本情報・マイナンバーの入力 住所・氏名などを入れ、送信へ進む

雑所得の入力画面

国税庁の案内には「雑所得(業務・その他)の入力画面」があり、支払者の氏名又は名称の欄と必要経費の欄があることが書かれています(国税庁「確定申告書等作成コーナーの入力方法」(家内労働者等の必要経費の特例の資料))。分配金を入れるときは、事業者の書類にある支払者の名前と源泉徴収前の分配金の額・源泉徴収税額を手元に置き、画面の案内に沿って1社ずつ入れていきます。

画面の項目名や並びは年分ごとに見直されますので、実際に入力するときは、その年の作成コーナーの画面の説明と国税庁の案内で最新を確かめてください。前の年の申告データ(.data)を読み込むと、雑(その他)所得の収入の情報なども入力を省けると案内されています(同じガイド)。

必要経費

雑所得の金額は、収入金額から必要経費を引いて計算します(国税庁 タックスアンサー No.1500「雑所得」)。不動産クラファンの分配金について、どの支出を必要経費にできるかは国税庁の手引きに例が載っていませんので、迷う支出があれば税務署や税理士に確かめてから入れましょう。

出し方と期限

確定申告書はe-Taxで送るほか、郵便で所轄の税務署(または業務センター)に送る方法と、税務署の受付に持っていく方法があります(申告書の提出方法)。令和7年1月から、書面で出した申告書の控えに受付の日付印は押されなくなっていますので、控えは自分で保存しておきます(同じページ)。

申告と納付の期限は、原則として翌年の3月15日で、申告の期間は2月16日からです(国税庁 タックスアンサー No.2020「確定申告」)。税金が戻るだけの還付申告は、翌年1月1日から5年間出せます(令和7年分 確定申告の手引き「確定申告をすれば税金が還付される方」)。

よくある質問

Q. 事業者の書類が届かないときはどうしますか?

A. 支払調書は事業者が税務署に出す書類で、投資家への渡し方は事業者ごとに違います。マイページの書類の欄や事業者の案内を確かめ、見つからなければ事業者に問い合わせましょう。分配の明細から自分で合計することもできますが、源泉徴収前の額と源泉徴収税額を取り違えないようにしてください。

Q. 元本割れした募集はどう書きますか?

A. 雑所得の損失は給与所得など他の所得と損益通算できません(No.1500)。雑所得の中での計算の扱いは契約の内容によって変わりますので、元本割れしたときの扱いを読んだうえで、税務署や税理士に確かめてください。

Q. 任意組合型の分配金も同じ欄ですか?

A. 任意組合型の分配金は不動産所得として申告しますので、雑所得の欄ではなく不動産所得の欄を使います。違いは任意組合型の分配金は不動産所得にまとめています。

この記事は、国税庁が公表している令和7年分の確定申告の手引き・作成コーナーのガイドをもとに、令和8年分の申告を想定してまとめた一般的な内容です。申告書の欄の番号や作成コーナーの画面は年分ごとに変わることがあります。個別の判断は税理士・税務署にご相談ください。

文:クラカレ編集部

関連する記事