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税金・確定申告

源泉徴収された税金が戻る場合と、元本割れしたときの扱い

2026/10/14 更新|各社の公開情報から作成

分配金から差し引かれた20.42%は前払いの税金ですので、所得税率が5%や10%の人や課税される所得が0円になる人は、確定申告(還付申告)をすると差し引かれすぎた分が戻ります。反対に元本割れで損をしても、匿名組合型の分配金は雑所得ですので、その損失を給与所得などほかの所得と相殺(損益通算)することはできません。

この記事は令和8年分(2026年の所得を2027年に申告する分)を前提に、国税庁の公表している内容から一般的な仕組みをまとめています。分配金の税金の基本は分配金の税金で先に扱っています。

税金が戻る仕組み

源泉徴収は前払いで、申告で過不足を精算する

確定申告は1年間の所得と税額を計算して確定させる手続で、源泉徴収された税金があれば、その過不足を申告で精算します(国税庁 タックスアンサー No.2020「確定申告」)。匿名組合の分配金は支払いのときに一律20.42%が差し引かれますが(国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」第8章)、その人が本来納める税額は、給与などと合わせた所得と所得控除から計算した額です。本来の税額のほうが小さければ、差額が戻ります。

戻る人と戻らない人の目安

所得税は課税される所得金額が大きくなるほど税率が上がる仕組みで、令和8年4月1日現在の速算表では課税される所得金額が195万円未満なら5%、195万円以上330万円未満なら10%です(国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」)。復興特別所得税の2.1%を上乗せすると5%の人は5.105%、10%の人は10.21%になりますので、20.42%との差が分配金について差し引かれすぎた分にあたります。

課税される所得金額 分配金の部分にかかる率(復興特別所得税を含む) 20.42%との関係
0円(所得が所得控除の合計以下) 0% 差し引かれた額がほぼ戻る
1,000円〜1,949,000円 5.105% 差し引かれすぎ
1,950,000円〜3,299,000円 10.21% 差し引かれすぎ
3,300,000円〜6,949,000円 20.42% ほぼ過不足なし
6,950,000円以上 23.483%〜 申告で追加して納める

表は分配金の部分だけを取り出したおおよその見方で、実際の還付額はほかの所得・所得控除・税額控除を含めた申告書の計算で決まります。

当たりやすいのはどんな人か

国税庁は還付申告で税金が戻る人の例として、総合課税の配当所得や原稿料などがあり年間の所得が一定額以下の人を挙げています(令和7年分 確定申告の手引き「確定申告をすれば税金が還付される方」)。不動産クラファンでいえば、給与のない専業主婦(主夫)や学生・所得が少ない年金生活の人・収入が少ない年の会社員などが、表の0円から10%の帯に入る可能性があります。どの帯に入るかは所得控除の額によっても変わりますので、作成コーナーで計算してみると確かめられます。

計算の例

例:いずれも1年間に源泉徴収前で5万円の分配金を受け取り、10,210円(5万円×20.42%)を差し引かれた人で、分配金に必要経費が無い場合です。

例 課税される所得金額 分配金の部分の税額の目安 戻る額の目安
所得が所得控除の合計より少ない人 0円 0円 10,210円ほど
課税される所得が150万円の人 5%の帯 5万円×5.105%で約2,550円 約7,650円
課税される所得が250万円の人 10%の帯 5万円×10.21%で約5,100円 約5,100円
課税される所得が500万円の人 20%の帯 5万円×20.42%で約10,210円 ほぼ戻らない

戻る額は例の条件での目安で、実際の額は申告書の計算で決まります。想定利回りは予定の値で、分配の額そのものも保証されていません。

住民税は戻らない

匿名組合の分配金から差し引かれるのは所得税等だけで、住民税は差し引かれていません(源泉徴収のあらまし 第8章)。住民税は申告した所得をもとに翌年に計算され、所得割は10%が標準の税率です(総務省「個人住民税」)。所得税が戻っても、住民税の分は別に納めることになります。

還付申告の手続

5年前の分までさかのぼれる

還付申告は、原則としてその年の翌年1月1日から5年間出すことができます(確定申告をすれば税金が還付される方)。令和8年分であれば、2027年1月1日から出せます。過去の年に分配金を受け取っていて申告していなかった人も、5年の範囲なら申告できます。

会社員が還付申告をするときは、20万円以下の所得も書く

給与以外の所得が20万円以下の会社員は所得税の確定申告をしなくてもよいとされていますが、還付申告をするなら、20万円以下の所得もあわせて申告する必要があります(国税庁 タックスアンサー No.1900 Q&A)。分配金だけを選んで申告することはできません。詳しくは会社員の「20万円」と住民税の申告にまとめています。

申告書の書き方は確定申告のやり方を参考にしてください。

元本割れしたときの扱い

戻らなかった元本は「所得」ではない

国税庁の通達は、出資の払戻しとして受け取るお金は利益の分配に含まれないとしています(所得税基本通達36・37共-21)。運用が終わって戻ってくる元本は分配金とは別のもので、元本が予定どおり戻ればそこに税金はかかりません。元本割れは、この払戻しが出資した額より少なかった状態です。

不動産クラファンは元本が保証されていない商品で、劣後出資があっても、それを超える損失が出れば投資家の元本が減ります。仕組みは不動産クラファンのリスクと劣後出資の割合の見方にまとめています。

雑所得の損失は、給与などと相殺できない

雑所得の金額の計算で出た損失は、他の所得の金額と損益通算できません(国税庁 タックスアンサー No.1500「雑所得」)。匿名組合型の募集で損失が出ても、その損失で給与所得の税金を減らすことはできないということです。

確定申告の手引きでは、雑所得の金額は公的年金等・業務・その他のそれぞれの所得を合計して計算し、合計が赤字のときは0円とします(令和7年分 確定申告の手引き「雑所得」)。元本割れの損失をこの雑所得の計算にどう入れるかは、契約の内容や事業者の計算の示し方によって変わりますので、自分で判断せず税務署や税理士に確かめてください。

上場株式の損失とは扱いが違う

上場株式等の譲渡損失は、一定の要件のもとで申告分離課税を選んだ上場株式等の配当所得等から差し引くことができ、前年以前3年内の損失を繰り越して差し引く仕組みもあります(国税庁 タックスアンサー No.1331「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」)。匿名組合型の不動産クラファンの分配金は雑所得で、この上場株式等の仕組みには入りません。株式やREITと同じ感覚で損益を合わせられると考えないようにしましょう。REITとの違いはNISAは使えるかでも取り上げています。

任意組合型の損失には別の制限がある

任意組合型の分配金は不動産所得として申告しますが、組合の業務の執行に関わらない組合員の不動産所得の損失は、生じなかったものとみなされる特例があります(国税庁 タックスアンサー No.1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」)。詳しくは任意組合型の分配金は不動産所得にまとめています。

よくある質問

Q. 分配が予定より少なかったときの税金は?

A. 源泉徴収は実際に支払われる利益の分配に対して行われますので(源泉徴収のあらまし 第8章)、申告に書くのも実際に支払が確定した額です。想定利回りで計算した額を書くわけではありません。事業者の年間の書類で、実際の分配金の額と源泉徴収税額を確かめましょう。

Q. 還付申告をすると住民税はどうなりますか?

A. 所得税の確定申告書を出すと、住民税の申告もしたものとみなされます(横浜市「市民税・県民税の申告について」)。分配金の所得は翌年の住民税の計算に入りますが、これは住民税の申告をした場合も同じです。

Q. 源泉徴収された税金が多すぎるとき、事業者に返してもらえますか?

A. 事業者は決まった率で源泉徴収して国に納めていますので(源泉徴収のあらまし 第8章)、税金が多すぎた分は確定申告(還付申告)で国から戻ってくる形になります。

この記事は、令和8年分の所得税・住民税について国税庁・総務省・市区町村が公表している一般的な内容をまとめたもので、個別の税務の判断を示すものではありません。還付の額や損失の扱いは、契約の内容とほかの所得によって変わります。個別の判断は税理士・税務署にご相談ください。

文:クラカレ編集部

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