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NISAは使えるか:不動産クラファンとREITの税の違い

2026/10/14 更新|各社の公開情報から作成

不動産クラファンの匿名組合出資や任意組合出資はNISAで非課税になる「上場株式等」に入っていないため、NISAの口座では買えず、分配金はふつうに課税されます。同じ不動産に投資する商品でも、証券取引所に上場しているREIT(J-REIT)は上場株式等として扱われますので、NISAの成長投資枠で持てば分配金と売却益が非課税になります。

この記事は令和8年(2026年)時点のNISAの制度と税の扱いを、金融庁・国税庁の公表している内容と租税特別措置法の条文からまとめています。制度は改正されることがありますので、利用の前に最新の案内を確かめてください。

NISAで非課税になるもの

金融庁の説明

金融庁は、NISA口座で投資した金融商品から得られる売却益や配当・分配金が非課税になると説明しています(金融庁「NISAを知る」)。2024年からのNISAはつみたて投資枠が年120万円・成長投資枠が年240万円で、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です(同じページ)。

投資できる商品は、つみたて投資枠が長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託、成長投資枠が上場株式・投資信託等とされています(金融庁「NISAの抜本的拡充・恒久化のイメージ」)。成長投資枠でも、整理・監理銘柄や、信託期間20年未満・毎月分配型の投資信託などは除かれています(同じ資料)。

法律で決まっている範囲

NISAの非課税は、租税特別措置法第37条の14などに定められています(租税特別措置法(e-Gov法令検索))。条文は金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座で管理される「上場株式等」を対象としていて、その中身として金融商品取引所に上場されている株式等・公募の株式投資信託の受益権・特定投資法人の投資口などを挙げています。

ここでいう株式等の定義(第37条の10第2項)には、株式のほか投資法人の投資主となる権利なども含まれています。証券取引所に上場しているJ-REITは投資法人の投資口ですので、上場株式等として扱われます。

不動産クラファンが対象外になる理由

匿名組合・任意組合の出資は「上場株式等」に入らない

不動産クラファンの多くは、商法の匿名組合契約か民法の組合契約(任意組合)で出資する形をとっています(国税庁 所得税基本通達36・37共-19・36・37共-21)。この出資の持分は株式でも投資信託の受益権でもなく、金融商品取引所に上場されているものでもありませんので、租税特別措置法が並べている上場株式等のどれにも当たりません。

NISA口座は証券会社などに開く口座

条文はNISAの口座を「金融商品取引業者等の営業所」に開設する非課税口座としています(租税特別措置法第37条の14)。不動産クラファンの申込みは、各事業者のサイトで不動産特定共同事業の契約として行うもので、証券会社のNISA口座を通して買う仕組みにはなっていません。

分配金は雑所得として課税される

NISAが使えない以上は、匿名組合型の分配金は原則として雑所得として扱われます(所得税基本通達36・37共-21)。支払いのときに20.42%が源泉徴収されたうえで、確定申告で給与などと合わせて精算します(国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」第8章)。仕組みは分配金の税金に、任意組合型の扱いは任意組合型の分配金は不動産所得にまとめています。

不動産クラファンとJ-REITの税の違い

NISAを使わずに課税口座で持った場合も、不動産クラファン(匿名組合型)とJ-REITでは税の扱いがかなり違います。

項目 不動産クラファン(匿名組合型) J-REIT(上場の投資法人)
分配金の所得の区分 原則として雑所得(通達36・37共-21) 配当所得(投資法人からの金銭の分配。No.1330)
受け取るときの源泉徴収 20.42%(所得税等のみ) 所得税等15.315%+地方税5%(No.1330)
確定申告 原則として総合課税で精算 申告不要・申告分離課税・総合課税から選べる(No.1331)
配当控除 配当所得ではないので無い 投資法人からの配当等は対象外(No.1250)
損失の扱い 雑所得の損失は他の所得と損益通算できない(No.1500) 上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税の配当所得等と通算でき、3年の繰越しもある(No.1331)
NISA 対象外 成長投資枠の対象(金融庁・措法37条の14)

表の出典は、国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」・No.1331「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」・No.1250「配当所得があるとき(配当控除)」・No.1500「雑所得」です。

所得の多い人ほど差が出る

上場株式等の配当は、申告分離課税を選べば所得の多さにかかわらず20.315%で済みます(No.1331)。不動産クラファンの分配金は総合課税で、給与と合わせた所得に5%から45%の累進税率がかかります(国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」)。そのため課税される所得の多い会社員ほど、同じ額の分配でも手元に残る額が少なくなります。反対に所得税率が5%や10%の人は、確定申告をすれば差し引かれた20.42%の一部が戻ります(源泉徴収された税金が戻る場合)。

住民税の入り方も違う

上場株式等の配当は、支払いのときに地方税5%が差し引かれます(No.1330)。不動産クラファンの分配金では住民税は差し引かれず、翌年に所得割10%で計算されます(総務省「個人住民税」)。

税以外の違いも合わせて見る

J-REITは証券取引所で売買されますので、価格は取引のたびに動きます。不動産クラファンは募集の時点で運用期間と想定利回りが示され、途中で解約できるかどうかや手数料は募集ごとの契約成立前書面に書かれています。どちらも元本は保証されていません。商品の仕組みの違いはREIT・不動産小口化商品・不動産クラファンの違いで、セキュリティトークン(デジタル証券)との違いはセキュリティトークンとはで扱っています。

よくある質問

Q. 不動産クラファンで節税はできますか?

A. 匿名組合型の分配金は総合課税の雑所得で、損失が出ても給与所得などと損益通算できません(No.1500)。任意組合型でも、業務の執行に関わらない組合員の組合事業の不動産所得の損失は生じなかったものとみなされます(国税庁 タックスアンサー No.1391)。税を減らす目的の商品ではないと考えておくのが実態に近い見方です。

Q. NISAの成長投資枠でREITの投資信託は買えますか?

A. 成長投資枠の対象は上場株式・投資信託等で、整理・監理銘柄や信託期間20年未満・毎月分配型の投資信託などは除かれています(金融庁 資料)。個別の商品が対象になるかは、NISA口座を開いている金融機関の取扱商品で確かめてください。

Q. 将来、不動産クラファンがNISAの対象になることはありますか?

A. 2026年10月時点では、金融庁のNISAの案内にも租税特別措置法第37条の14が並べる上場株式等にも、匿名組合出資は入っていません。制度が変われば金融庁の案内に載りますので、そちらで確かめてください。

この記事は、2026年10月時点でNISA・所得税・住民税について金融庁・国税庁・総務省が公表している内容と法令の条文をまとめた一般的な説明で、特定の商品を勧めるものでも、個別の税務の判断を示すものでもありません。個別の判断は税理士・税務署にご相談ください。

文:クラカレ編集部

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