劣後出資の割合は、損失が出たときに投資家より先に事業者側の出資で受け止める部分の大きさで、単純に考えれば物件の価値がその割合まで下がっても投資家の元本は減らない設計です。ただし劣後出資は事業者の倒産から守る仕組みではありませんし、割合を案件ページに数字で出している事業者は一部ですので、クラカレの表も出している事業者の分だけになっています。
劣後出資の仕組み
優先出資と劣後出資
優先劣後方式の募集では1つの物件に対して、投資家が「優先出資」、事業者やそのグループ会社が「劣後出資」として一緒に出資します。物件の運用で損失が出たときはまず劣後出資の分から負担し、それを使い切ってから優先出資、つまり投資家の元本が減っていきます。
この順番は法律で決まっているものではなく、それぞれの募集の契約で定めているものです。損失を負う順番や、分配を受ける順番の決め方は、契約成立前書面で確かめられます。
計算例
物件の価格が1億円で、投資家の優先出資が9,000万円、事業者の劣後出資が1,000万円(劣後出資の割合10%)の募集を考えます。諸費用や分配を考えない、単純な例です。
| 物件の売却価格 | 損失 | 劣後出資の負担 | 投資家の元本 |
|---|---|---|---|
| 1億円 | なし | なし | 減らない |
| 9,500万円 | 500万円 | 500万円 | 減らない |
| 9,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円(全部) | 減らない |
| 8,500万円 | 1,500万円 | 1,000万円(全部) | 500万円減る |
売却価格が8,500万円になると、劣後出資の1,000万円を使い切ったうえで、投資家の9,000万円のうち500万円が減ります。10万円を出資した人なら、戻ってくるのは9万4千円ほどです。
同じ1億円の物件で劣後出資の割合が30%(優先7,000万円・劣後3,000万円)なら、売却価格が8,500万円になっても、損失の1,500万円は劣後出資の中で収まります。この単純な例では、劣後出資の割合が「物件の価値がどこまで下がっても投資家の元本が減らないか」の目安になるわけです。
劣後出資が守らないもの
割合を超える損失
劣後出資の割合を超えて価値が下がれば、投資家の元本は減ります。劣後出資は損失の一部を先に受け止める仕組みで、元本を保証するものではありません。
事業者の倒産
劣後出資は物件の運用で出た損失の分け方の仕組みで、事業者そのものが倒産したときに投資家のお金を守る仕組みではありません。匿名組合型の契約では、投資家の出資は営業者(事業者)の財産になると商法で定められています(商法 第536条)。営業者が倒産したときの扱いは、劣後出資の割合とは別に見る必要があります。倒産のリスクは不動産クラファンのリスクで、契約の型の違いは匿名組合型と任意組合型の違いで書いています。
物件の価格の見積もりそのもの
劣後出資の割合は、物件の価格(取得価格や評価額)を元にした割合です。最初の価格が実際の価値より高く見積もられていれば、割合が同じでも受け止められる下落の幅は見かけより小さくなってしまいます。2026年8月に公布された不動産特定共同事業法施行規則の改正では、対象不動産の価格を妥当と判断する根拠などを、契約が成立する前に説明する事項に加えています(国土交通省「施行規則の一部を改正する命令について(概要)」)。
事業者ごとの劣後出資の割合
表は、劣後出資の割合が案件ページに数字で出ている案件を、事業者ごとにまとめたものです。
| 事業者 | 記録した案件 | 劣後出資の割合(中央値) | 幅 |
|---|---|---|---|
| RRimple | 1件 | 30% | 30〜30% |
| 6件 | 10% | 5〜24.1% | |
| 12件 | 10% | 10〜17.68% | |
| 6件 | 10% | 10〜10% | |
| 7件 | 10.3% | 10.2〜10.6% |
この表を読むときの注意
この表は、割合を数字で出している事業者と案件だけを数えています。表に無い事業者が劣後出資を設けていないという意味ではありません。案件ページに割合を数字で書いていない事業者もありますので、劣後出資があるかどうかは表だけでは分かりません。表に無い事業者は、各社の案内と契約成立前書面で確かめてください。
また、表に出ている事業者でも記録した案件の数は少なく、件数は事業者ごとにばらばらです。数件の値から出した中央値ですので、その事業者のどの募集も同じ割合だとは限りません。
劣後出資の割合が書かれておらず、「出資総額」と「募集額」だけが載っている事業者もあります。その場合は、出資総額と募集額の差を劣後出資とみなして割合を出しています。
割合の幅が広い事業者
表の「幅」は、記録した案件のうちいちばん低い割合から高い割合までです。同じ事業者でも、募集によって割合が大きく違うことがあります。2026年10月時点の記録では、TECROWDは5%から24.1%までの幅がありました。事業者の中央値だけを見て申し込むと、その募集の割合を見落としてしまいます。
貸付型の募集
2026年10月時点で表に出ているのは、不動産特定共同事業法の許可で募集している事業者です。貸付型(ソーシャルレンディング)の募集では、劣後出資ではなく、貸付先から受け取る担保や保証の有無を案件ページに書いている事業者があります。担保や保証の意味は、誰の何に付いているかで変わりますので、貸付型の仕組みと合わせてソーシャルレンディングとはで書いています。
割合のほかに見ておくところ
劣後出資をするのは誰か
劣後出資の負担を実際に負うのは、劣後出資をした会社です。それが事業者自身なのかグループ会社なのかは、契約成立前書面で確かめられます。
分配の順番
損失を負う順番だけでなく、分配をどの順番で行うかも契約で決まります。決め方は募集ごとに違いますので、契約成立前書面の分配の項目を見ておきましょう。
募集ごとの割合
事業者の傾向ではなく、申し込む募集そのものの割合を、案件ページと契約成立前書面で確かめましょう。比べる項目の全体は比べるときに見る項目にまとめています。
よくある質問
Q. 劣後出資の割合が30%なら安全ですか
A. 劣後出資の割合が高いほど、物件の値下がりを事業者側の出資で受け止められる幅は広くなります。ただし、割合を超える損失が出れば元本は減りますし、事業者の倒産や最初の価格の見積もりに関わるリスクは割合とは別に残ります。割合の高さだけで安全かどうかは決められません。
Q. 劣後出資の割合を高い順に並べたランキングはありますか
A. 劣後出資の割合は、数字を出している事業者の分しか記録できていないため、まだランキングにしていません。記録できる事業者が増えた段階で検討します。
Q. 劣後出資の割合が書かれていない募集はどう確かめますか
A. 契約成立前書面に、優先出資と劣後出資の額や損失の負担の順番が書かれています。案件ページに無い場合は、申し込む前に書面を見ておきましょう。
劣後出資の割合は、各社の公開情報(案件ページの表示)をもとにしたクラカレの記録です。割合は募集ごとに違い、元本を保証するものではありません。