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セキュリティトークン(デジタル証券)とは:不動産STOと不動産クラファンの違い

2026/10/14 更新|各社の公開情報から作成

セキュリティトークン(ST・デジタル証券)は、株式や信託の受益権・ファンドの持分といった金融商品取引法(金商法)の有価証券を、ブロックチェーンなどの仕組みで電子的に移転できる形にしたものです。不動産を裏付けにしたSTと不動産クラウドファンディングは、どちらも少額で不動産に投資する商品ですが、もとになる法律と取り扱う会社が違います。

セキュリティトークンとは何か

セキュリティトークンは、法律の上では金商法の「電子記録移転権利」や、それを含むもう少し広い「電子記録移転有価証券表示権利等」として扱われます。STO(Security Token Offering)は、このトークンを発行して投資家からお金を集めることを指す言葉です。

呼び方は「セキュリティトークン」「デジタル証券」「ST」とさまざまですが、この記事では同じものを指して使います。暗号資産(ビットコインなど)と同じブロックチェーンの技術を使う商品もありますが、STは有価証券として金商法の規制を受けるため、暗号資産とは扱いが別です。

2020年5月の金商法改正で位置づけられた

STの扱いが法律で決まったのは、2020年5月1日に施行された改正金商法(金融庁は「令和元年資金決済法等改正」と呼んでいます)です。金融庁は、この改正にあわせた政令・内閣府令を2020年5月1日から施行すると公表しています(金融庁の2020年4月3日の公表)。

電子記録移転権利

金商法第2条第3項は、信託の受益権や集団投資スキームの持分などもともと「第二項有価証券」とされていた権利が、電子情報処理組織で移転できる財産的価値に表示される場合を「電子記録移転権利」と定めています。こうした権利はトークンにすると株式のように出回りやすくなると考えられたため、第二項有価証券ではなく、株式や社債と同じ「第一項有価証券」の扱いになりました。

ただし、取得できる人や譲渡を技術的に制限していて流通しにくいと認められるものは、内閣府令で電子記録移転権利から外されます。これをいわゆる適用除外電子記録移転権利と呼びます。この場合は第二項有価証券のまま扱われます。

電子記録移転有価証券表示権利等

金融商品取引業等に関する内閣府令の第1条第4項第17号は「電子記録移転有価証券表示権利等」という言葉を置いています。電子記録移転権利に加えて、株式や社債などをトークンにしたものも含む、STの全体を指す言葉です。金融庁の会議に日本STO協会が出した資料でも、STはこの言葉の下に分類されています(金融庁の2023年6月6日の会議資料)。

取り扱う会社

STを投資家に販売する会社には、金商法の登録が要ります。金商法第28条では、電子記録移転権利の売買や募集の取扱いは「第一種金融商品取引業」にあたるため、証券会社と同じ種類の登録が必要になります。発行する会社が自分で募集する場合や、適用除外電子記録移転権利の場合は、扱いが変わります。

不動産を裏付けにしたST

不動産を裏付けにしたSTには、信託の受益権をトークンにしたものや、不動産特定共同事業法(不特法)の契約に基づく権利をトークンにしたものがあります。

不特法の契約をトークンにしたもの(不特ST)

国土交通省と金融庁の資料によると、トークン化した不動産特定共同事業契約に基づく権利(不特ST)は、2024年11月1日から原則として集団投資スキームの持分として金商法の対象になりました(国土交通省・金融庁 情報提供資料)。不動産の運用は通常の不動産特定共同事業と同じですが、不特STを扱う事業者は、不特法に加えて金商法の登録と規制を守る必要があります。

同じ資料は、不特STが原則として電子記録移転権利にあたることと、投資家どうしの不特STの売買の媒介も金商法の対象になることを示しています。必要な登録は、事業の区分と不特STの種類によって第一種または第二種の金融商品取引業に分かれます。

不動産STと不動産クラファンの違い

不動産クラファンは、不特法の許可や登録を受けた事業者が、インターネットで投資家と契約を結ぶ仕組み(電子取引業務)です。不動産を裏付けにしたSTとの違いを、事実の項目で並べました。

項目 不動産クラウドファンディング 不動産を裏付けにしたST
もとになる法律 不特法(電子取引業務) 金商法(不特STは不特法と金商法の両方)
権利の扱い 不特法の契約に基づく出資(匿名組合型・任意組合型など) 有価証券(電子記録移転権利など)
取り扱う会社 不特法の許可・登録を受けた不動産特定共同事業者 金融商品取引業の登録を受けた会社(電子記録移転権利の募集の取扱いは第一種)
最低投資額 事業者ごとに決まる(下の記事で事業者ごとの値) 商品ごとに決まる(目論見書・販売する会社の案内で確かめる)
途中で売れるか 契約の定めによる。運用期間中に換金できない募集もある 投資家どうしの売買を前提にした制度だが、売れるかどうかは商品ごと
事業者の確かめ方 国土交通省・都道府県の許可事業者の一覧 金融庁の金融商品取引業者の登録一覧

不動産クラファンの事業者ごとの最低投資額は、クラカレの記録を1万円から始められるか:事業者ごとの最低投資額にまとめています。許可の種類と確かめ方は不動産特定共同事業法(不特法)の許可で扱っています。

途中で売れるかの違い

STはトークンにすることで投資家どうしの移転をしやすくする狙いで作られた制度ですが、日本STO協会の2023年の資料は、STは「現状非上場有価証券」だと書いています。上場株式のように取引所でいつでも値段が付くものとは別に考えたほうがよいので、途中で売れるかどうかや手数料・値段の決まり方は、商品ごとの目論見書や販売する会社の説明で確かめることになります。

不動産クラファンは、運用期間の途中で解約や譲渡ができるかどうかが事業者と契約によって違います。できない募集もあるため、申し込む前に契約成立前書面で確かめておきたい項目です。

元本が保証されないことは同じ

STも不動産クラファンも、元本は保証されていません。分配の利回りは予定であり、物件の価格の下落や賃料の減少で損失が出ることがあります。不動産クラファンのリスクの起き方は不動産クラファンのリスクで、事業者の倒産と劣後出資の関係とあわせて説明しています。

事業者・販売する会社の確かめ方

不動産クラファンの事業者は、国土交通省の不動産特定共同事業者の一覧で許可・登録を確かめられます。STを販売する会社は、金融庁の免許・許可・登録等を受けている業者一覧にある金融商品取引業者の一覧で確かめられます。

クラカレに載せている事業者の運営会社と許可・登録は、不動産クラファン事業者の一覧と各事業者のページ(事業者の一覧から開けます)に、各社の公開情報からまとめています。

よくある質問

Q. セキュリティトークンとデジタル証券は違うものですか

A. この記事では同じものとして扱っています。金融庁の会議に出た日本STO協会の資料も、「電子記録移転有価証券表示権利等」に「デジタル証券」と添えて説明しています。法律の言葉は電子記録移転権利・電子記録移転有価証券表示権利等で、セキュリティトークン・デジタル証券は呼び名です。

Q. STは暗号資産ですか

A. 暗号資産ではありません。STは有価証券として金商法の規制を受けますので、販売する会社には金融商品取引業の登録が要ります。ブロックチェーンを使うという技術の面で似ているだけです。

Q. クラカレで不動産STの募集は見られますか

A. 2026年10月時点で、クラカレが記録しているのは不動産クラウドファンディングの募集です。不動産STの商品の一覧は、記録の範囲を広げてから扱う予定です。

Q. 不動産クラファン以外の投資型クラファンにはどんな種類がありますか

A. 貸付型(ソーシャルレンディング)・ファンド型・株式投資型などがあります。もとになる法律と所管ごとの全体図は投資型クラウドファンディングの種類にまとめました。

制度の説明は、2026年10月14日時点で確かめた法令・金融庁と国土交通省の公表資料によります。個別の商品の条件は、目論見書・契約成立前書面などで確かめてください。

文:クラカレ編集部

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