REIT(不動産投資信託)は取引所で毎日値段が付く投資法人の投資口で、不動産小口化商品と不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法(不特法)の契約に基づく出資ですので、換金の仕方と値動きの有無がまず違います。小口化商品とクラファンの違いは、主に契約の形(任意組合型か匿名組合型か)と、申込の窓口がインターネットかどうかにあります。
3つの商品の違い
それぞれの商品が、どの法律に基づいて何を持つものなのかを先に並べました。最低投資額と運用期間は、不動産クラファンについてはこのあとクラカレの記録で実際の値を出しています。
| 項目 | REIT(上場) | 不動産小口化商品 | 不動産クラウドファンディング |
|---|---|---|---|
| もとになる法律 | 投資信託及び投資法人に関する法律 | 不特法 | 不特法(電子取引業務) |
| 投資家が持つもの | 投資法人の投資口 | 任意組合などの持分(不動産の共有持分を持つ形) | 匿名組合などの契約に基づく出資 |
| 投資先 | 投資法人が持つ不動産 | 商品ごとに決まった物件 | 募集ごとに決まった物件 |
| 換金の仕方 | 取引所で投資口を売る | 契約の定めによる | 運用期間が終わると償還。途中の換金は契約の定めによる |
| 値動き | 市場で毎日変わる | 市場の値段は付かない | 市場の値段は付かない |
| 申し込む窓口 | 証券会社 | 販売する不動産会社など | 事業者のサイト |
| 分配金の税金 | 配当所得(配当控除の対象外) | 任意組合型は組合の事業の所得が組合員に帰属 | 匿名組合型は原則として雑所得 |
不動産小口化商品は法律の言葉ではないため、この記事では「不特法の任意組合型や賃貸型の契約で、1つの不動産を共有持分として小口に分けて持つ商品」を指して使います。
どの商品も元本は保証されていません。REITは投資口の値段が下がれば売ったときに損失が出ますし、小口化商品とクラファンは物件の価格の下落や賃料の減少で損失が出ることがあります。
REIT:取引所で売買する投資口
投資信託及び投資法人に関する法律は、投資法人を「資産を主として特定資産に対する投資として運用することを目的として」設立された社団と定め、その社員の地位を細かく分けたものを投資口と呼んでいます。上場REITでは、この投資口を株式と同じように証券会社を通じて取引所で売買します。
REITの値段は市場で毎日変わりますので、買うときの最低額は「その日の1口の値段」で決まります。運用期間が終わって出資金が戻るという形ではなく、換金したいときに市場で売るのがREITの換金の仕方です。
REITとNISAの関係や、REITと不動産クラファンの税の違いはNISAは使えるかで扱っています。
不動産小口化商品:不動産の共有持分を持つ形
不特法第2条第3項は、不動産特定共同事業契約の形として次のようなものを挙げています。各当事者が出資して共同の事業を営む契約(任意組合型)と、一方が出資して相手方が事業を営む契約(匿名組合型)、自分の共有持分の不動産を賃貸する契約(賃貸型)などです。
任意組合型では、組合の事業の利益や損失が分配の割合に応じて各組合員に帰属するものとして扱われます(国税庁の所得税基本通達36・37共-19)。匿名組合型の分配金が原則として雑所得になるのとは申告の仕方が違いますので、詳しくは任意組合型の分配金は不動産所得と匿名組合型と任意組合型の違いをご覧ください。
最低投資額と運用期間は商品ごとに決まります。運用期間の途中で持分を譲渡できるかどうかも契約の定めによりますので、契約成立前書面で確かめることになります。
不動産クラウドファンディング:インターネットで契約する出資
不動産クラファンは、不特法の許可や登録を受けた事業者が、インターネットで投資家と契約を結ぶ仕組み(電子取引業務)です。どの契約の形の募集なのかは、募集ごとの契約成立前書面に書かれています。小口化商品もクラファンも不特法の不動産特定共同事業契約ですので、両者の境目は法律ではっきり分かれているわけではありません。
最低投資額(クラカレの記録)
下の表は、クラカレが記録した募集の最低投資額を、事業者ごとにいちばん多い額で並べたものです。
| 事業者 | 最低投資額(いちばん多い額) | その額の件数 |
|---|---|---|
| 1円 | 11件/11件 | |
| 1万円 | 4件/4件 | |
| CCAMEL | 10万円 | 5件/6件 |
| 1万円 | 1件/1件 | |
| 1万円 | 9件/9件 | |
| 1万円 | 136件/146件 | |
| 1万円 | 27件/27件 | |
| 1円 | 22件/22件 | |
| 10万円 | 18件/18件 | |
| 50万円 | 90件/90件 | |
| 2万円 | 88件/88件 | |
| 1万円 | 30件/30件 | |
| RRimple | 1万円 | 6件/6件 |
| 10万円 | 12件/12件 | |
| 10万円 | 35件/35件 | |
| 1万円 | 4件/6件 | |
| 1万円 | 40件/40件 | |
| 1万円 | 50件/50件 | |
| 5万円 | 1件/1件 | |
| 1万円 | 56件/56件 | |
| 1万円 | 8件/10件 | |
| 10万円 | 15件/15件 | |
| 1万円 | 16件/16件 |
2026年10月時点・クラカレの記録では、1万円からの事業者のほかに10万円からの事業者もあり、同じ不動産クラファンでも事業者によって最低投資額が違います。事業者ごとの違いは1万円から始められるか:事業者ごとの最低投資額で詳しく扱っています。
運用期間(クラカレの記録)
不動産クラファンには、REITと違って募集ごとに運用期間があります。下の表は、2026年9月1日以降に始まった募集を運用期間の帯ごとに数えたものです。
| 運用期間 | 全体 | 不特法の許可の事業者 | 金融商品取引業の登録の事業者 |
|---|---|---|---|
| 3か月以下 | 5件(4%) | 3件(8%) | 2件(2%) |
| 4〜6か月 | 26件(19%) | 10件(28%) | 16件(16%) |
| 7〜12か月 | 86件(64%) | 17件(47%) | 69件(70%) |
| 13〜24か月 | 13件(10%) | 2件(6%) | 11件(11%) |
| 25か月以上 | 4件(3%) | 4件(11%) | 0件(0%) |
2026年9月以降の募集についてのクラカレの記録では、7〜12か月の募集がいちばん多い帯でした。運用期間が終わると出資金が償還されますが、償還が予定より早まったり遅れたりすることもあります。期間ごとの募集の数と利回りの関係は運用期間で比べるで見られます。
どの違いが自分に関わるか
3つの商品を比べるときは、次のような事実の項目で見ていくと違いがつかみやすくなります。
途中でお金が必要になったとき
REITは市場で売れますが、そのときの値段で売ることになります。小口化商品とクラファンは市場の値段が付かない代わりに、途中の換金ができるかどうかが契約で決まっていて、できない募集もあります。
値動きを見たくないとき
REITは毎日値段が変わります。小口化商品とクラファンは市場の値段が付きませんので日々の値動きはありませんが、それは損失が出ないという意味ではなく、物件の価格や賃料の変化は運用の結果に表れます。
税金の手続き
REITの分配金は配当所得ですが、投資法人から受ける配当は配当控除の対象になりません(国税庁タックスアンサーNo.1250)。匿名組合型のクラファンの分配金は原則として雑所得です(同じ通達の36・37共-21)。匿名組合型の分配金の税金は分配金の税金にまとめています。個別の判断は税理士・税務署にご相談ください。
よくある質問
Q. REITと不動産クラファンはどちらが値下がりしにくいですか
A. 比べ方が違うため、どちらとは言えません。REITは市場の値段が毎日付くので値下がりが目に見えますが、不動産クラファンは市場の値段が付かないだけで、元本が保証されているわけではありません。劣後出資で損失の一部を事業者が先に負う募集もありますが、負う範囲には限りがあります(劣後出資の割合の見方)。
Q. 不動産小口化商品と不動産クラファンは同じものですか
A. どちらも不特法の契約に基づく商品で、重なる部分があります。この記事では、任意組合型などで共有持分を持つ商品を小口化商品と呼び、インターネットで契約する募集を不動産クラファンと呼んで分けています。
Q. 不動産STとは何が違いますか
A. 不動産を裏付けにしたセキュリティトークンは、金融商品取引法の有価証券として扱われます。違いはセキュリティトークン(デジタル証券)とはにまとめました。
制度と税金の説明は、2026年10月14日時点で確かめた法令と国税庁の公表資料によります。不動産クラファンの値は各社の公開情報をもとにしたクラカレの記録で、生成のたびに更新されます。