想定利回りは運用がうまくいった場合に受け取れる分配の割合を年率で書いた予定の値で、2026年9月時点・クラカレの記録では6%台から9%台の募集がまとまって多く、10%以上の募集も一定の数あります。同じ年率でも運用期間が違えば受け取る額は変わりますので、利回りの数字は期間と合わせて、円に直して見ると比べやすくなります。
想定利回りは「予定」の数字
元本も分配も保証されていない
想定利回りは、事業者が募集の時点で見込んでいる分配の割合で、約束された数字ではありません。物件の売却価格が見込みより下がったり賃料が入らなかったりすれば、分配が減ることも元本が減ることもあります。
法律の上でも、出資金の全額以上を後で払い戻すと示して不特定多数からお金を集めることは禁じられています(出資法 第1条)。不動産特定共同事業法も、利益が出ることが確実だと誤解させる断定的な説明を禁じています(不動産特定共同事業法 第21条)。想定利回りが元本保証の利息とは違うものだということは、この決まりからも読み取れます。
利回りの根拠の説明が加わった
2026年8月21日に公布された不動産特定共同事業法施行規則の改正では、契約が成立する前に説明する事項が増えました。勧誘のときに利回りを示した場合は、それが予想に基づくものであることと、その根拠となる取引の額などを説明することになっています(国土交通省「施行規則の一部を改正する命令について(概要)」)。すでに許可を受けている事業者は2026年11月30日まで改正前の決まりによることができますので、新しい説明が契約成立前書面にそろうのは、遅くとも12月1日以降の募集からです。制度の変化は2026年8月の制度改正で詳しく扱います。
年率を、受け取る額に直す
想定利回りは1年あたりの割合ですので、運用期間が1年より短ければ、受け取る額は年率よりも小さくなります。
| 出資額 | 想定利回り(年率) | 運用期間 | 税金がかかる前の分配 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 6% | 6か月 | 3,000円 |
| 10万円 | 6% | 12か月 | 6,000円 |
| 10万円 | 10% | 3か月 | 2,500円 |
10%の募集でも運用期間が3か月なら、6%で6か月の募集より受け取る額は小さくなります。利回りの高い低いだけで比べると、こうした違いを見落としてしまいます。
分配には税金がかかる
表の金額は税金がかかる前のものです。匿名組合型の分配金は原則として雑所得になり(国税庁 所得税基本通達36・37共-21)、支払いのときに源泉徴収されることがあります。税金の仕組みは分配金の税金にまとめていますので、個別の判断は税理士・税務署に確かめてください。
お金が動かない期間も含めて考える
想定利回りは、運用が始まってから終わるまでの期間に対する割合です。事前入金で募集を待っている期間や、申し込んでから運用が始まるまでの期間は計算に入りません。たとえば10万円・年6%・6か月の募集で、運用の前後に1か月ずつお金が動かない期間があれば、8か月で3,000円を受け取ることになります。お金を置いていた8か月で割り直すと、年4.5%ほどです。
運用期間が予定より早く終わる(早期償還)と、受け取る分配も予定より少なくなります。期間の見方は運用期間で比べるで書いています。
何%の募集が多いか
表は、2026年9月1日以降に始まった募集を、想定利回りの帯ごとに数えたものです。
| 想定利回り(年率) | 全体 | 不特法の許可の事業者 | 金融商品取引業の登録の事業者 |
|---|---|---|---|
| 4%未満 | 12件(9%) | 2件(6%) | 10件(10%) |
| 4%台 | 10件(7%) | 6件(17%) | 4件(4%) |
| 5%台 | 8件(6%) | 3件(8%) | 5件(5%) |
| 6%台 | 31件(23%) | 11件(31%) | 20件(20%) |
| 7〜9%台 | 47件(35%) | 5件(14%) | 42件(43%) |
| 10%以上 | 26件(19%) | 9件(25%) | 17件(17%) |
2026年9月時点の記録では、6%台と7〜9%台を合わせると全体の半分を超えます。4%未満から5%台の募集も合わせて4分の1ほどあり、10%以上の募集も2割近くありました。「平均5〜6%」といった出典の無い数字を見かけることがありますが、帯ごとの件数で見ると、低い帯から高い帯まで散らばっていることが分かります。
事業者ごとの想定利回り
表は、2026年9月1日以降の募集について、事業者ごとの想定利回りと運用期間の中央値です。
| 事業者 | 募集 | 想定利回り(中央値) | 運用期間(中央値) |
|---|---|---|---|
| 11件 | 7.0% | 12か月 | |
| CCAMEL | 6件 | 13.0% | 5か月 |
| 2件 | 7.5% | 12か月 | |
| 5件 | 6.0% | 7か月 | |
| 3件 | 4.5% | 36か月 | |
| 1件 | 6.3% | 36か月 | |
| 1件 | 5.31% | 24か月 | |
| 9件 | 3.55% | 8か月 | |
| 1件 | 5.0% | 7か月 | |
| 24件 | 9.5% | 12か月 | |
| RRimple | 2件 | 2.7% | 6か月 |
| 3件 | 15.5% | 12か月 | |
| 10件 | 6.0% | 10か月 | |
| 17件 | 6.5% | 10か月 | |
| 2件 | 7.25% | 11.5か月 | |
| 28件 | 8.0% | 12か月 | |
| 3件 | 8.0% | 12か月 | |
| 6件 | 4.6% | 5か月 |
件数の多い事業者が全体の分布を左右する
利回りの帯ごとの件数は、件数の多い事業者の募集に引っぱられます。2026年9月時点の記録では、件数の多いLENDEX(中央値9.5%)とバンカーズ(中央値8.0%)の募集が全体の4割ほどを占めていました。どちらも不動産特定共同事業法の許可ではなく、金融商品取引業の登録で募集している事業者です(許可・登録は事業者の一覧で見られます)。不動産クラファンと貸付型(ソーシャルレンディング)は仕組みが違いますので、利回りを比べるときはどちらの募集かも見ておく必要があります。上の利回りの帯の表も、全体と、許可・登録の種類ごとの件数を分けて出しています。違いはソーシャルレンディングとはで書いています。
中央値は、その事業者の真ん中の値
表の中央値は、その事業者の募集を利回りの順に並べたときの真ん中の値です。1件や2件しか無い事業者は、その数件の値がそのまま出ていますので、いつもその利回りとは限りません。
利回りの高さと運用期間はセットで見る
事業者ごとに見ると、想定利回りが高い事業者と運用期間が長い事業者は必ずしも一致しません。利回りの中央値が低くても運用期間が短い事業者もあれば、利回りが高くても期間が1年の事業者もあります。どちらを重く見るかは、お金をいつ使う予定があるかによって変わります。
高い利回りの募集を見るときに
金融庁は貸付型の商品について、利回りの高い商品の中には返済の遅れや貸し倒れのリスクが高いものがあると注意を促し、利回りだけを強調してリスクを示さない業者には気をつけるよう呼びかけています(金融庁「ソーシャルレンディングについて」)。
利回りが高い理由は募集ごとに違いますので、何を根拠にその利回りを見込んでいるのかを契約成立前書面や案件ページで確かめておきましょう。劣後出資の割合や担保の有無も、あわせて見ておきたいところです(劣後出資の割合の見方)。
よくある質問
Q. 不動産クラファンの平均利回りは何%ですか
A. クラカレでは平均ではなく、利回りの帯ごとの件数と事業者ごとの中央値を出しています。少数の高い利回りの募集があると平均が引き上げられて、よくある募集の姿から離れてしまうためです。帯ごとの件数は上の表で、月ごとの動きは市場レポートで見られます。
Q. 想定利回りが高い事業者を並べたページはありますか
A. 想定利回りのランキングで、事業者ごとの中央値を高い順に並べています。事実の数字1つで並べ替えたもので、上にある事業者を勧めるものではありません。運用期間のランキングなど、ほかの項目の並べ替えと合わせて見てください。
Q. 想定利回りどおりに分配された割合は分かりますか
A. 予定どおりに償還・分配された割合は、クラカレではまだ出していません。償還の記録が貯まるまでには年単位の時間がかかるためです。
利回りと運用期間は、各社の公開情報(案件ページの表示)をもとにしたクラカレの記録です。想定利回りは予定の値で、元本と分配を保証するものではありません。